正月早々やっちゃいました。愛用の電気炉(中古の8kW)の挙動がもともとおかしかったんです。焼き物を焼く時には温度の設定をします。たとえば、400℃までは4時間それから8時間かけて1000℃まで挙げて1200℃まではもう4時間といったヒートカーブなんですが、温度の上がり具合を変えるのにステップという表現で、16ステップ設定可能とかがコントローラーの機能の一つにあるんです。
うちのコントローラーはチノーの定番機種でして、やりたいことは一通りできるはずが、なぜか1ステップ終了時にリセットがかかってしまい、一本調子の昇温設定しか使えなかったんです。いろいろ弄って警報温度の設定かな~とあたりをつけての試験焼成をしたところ、なぜか製品が爆裂!、2度3度と繰り返しても一向に爆裂がとまりません。これは昇温時間が短いからかと思い、時間を倍に設定して再度焼成しました。
いやーな予感がして、焼成開始の6時間後、深夜2時ごろでしたか、様子を見に行ってみると、窯の蓋の隙間から見たこののない色の光が漏れています。1200℃ぐらいだと白っぽいオレンジ色の光なんですが、真っ白なまばゆい光なんです。とっさに熱伝対の温度表示を確認すると、なんと1600℃!! あわてて焼成中止し、冷めるのを待って中を覗き込むと、棚板から製品から原型をとどめる物がない状態でした。火事にならなくて良かったです。
窯のダメージはカンタル線が一部焼損していましたが、耐火断熱レンガとケーシングには特にダメージがなかったのが幸いでした。原因を究明したところ、気付いてみればショウモナイささいな設定ミスなんです。警報設定を弄っていた時に、どうやらオート/マニュアル運転モードがマニュアルに切り替わっていたようで、直前の出力(たまたま100%)をキープしていたため、運転開始から100%出力を運転時間中キープしちゃったみたいなんです。
チノーのコントローラーの画面表示では、オート/マニュアルのモードの違いは1ドットの点のある無しなので、意識的に切り替えていないと発見はかなり困難です。ユーザーの方は要注意ですぞ!
さて、カンタル線の修理が必要でしたが、メーカーに問い合わせたところ、TIG溶接しないと直らないので、近くの溶接屋に相談したら?とのこと。鉄工所のおっちゃんに相談したら、TIGならあるけど繋げてもちゃんと直るかは保障できん、だって窯屋じゃないけぇのぉ、とツレナイ返事。やはり窯は窯屋ということで、はるか伊万里の製造元に修理を依頼する事にしました。
個人で電気炉をメーカーに発送して送り返してもらうのは運送賃だけでも大変高額になるので、持込修理をする事にしました。知人たちに手伝いをお願いし、工房から道路わきまで水平移動、ユニックで軽トラの荷台に積み込みました。あとは片道460kmを日帰りドライブです。
持ち込み先のメーカーで早速焼損部分を溶接してもらい、動作確認してもらいました。するとぜんぜん違う部分が何箇所か赤熱しています。要は1600℃の雰囲気中で製品の上薬が付着した部分が腐食しており、部分的に抵抗値が上がっているので赤熱しているみたいです。その部分は溶断するのも時間の問題なので、この際修理してもらう事になりました。やはりプロの仕事は違いますね。町の鉄工所では発見できなかったと思います。
修理は3時間ほどでおわり、直ちに帰路について深夜に帰宅。出発から帰宅までは18時間かかったことになります。ガス代と高速代をあわせて修理賃が半分ぐらいになったのかな。今回のドライブは年齢的にも限界に近い強行軍でした。
修理後の試運転でミニチュア鯱瓦が無事に焼けたので修理は完了しました。今後は電気窯を侮る事無く安全運転を心がけます。
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